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開催報告

講演会

第41回 講演会 急性期医療・電子カルテのDX最前線

2026年2月19日(木)20:00〜21:00に、第41回DMIL講演会を開催いたしましたのでご報告申し上げます。
本講演会では「急性期医療・電子カルテのDX最前線」をテーマに、急性期医療領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の最新動向と実践事例についてご講演いただきました。
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■ 開催概要
日時:2026年2月19日(木)20:00〜21:00

座長:
京都大学医学部附属病院 発達小児科学教室 講師
加藤 格

登壇者:
TXP Medical株式会社 代表取締役/救急・集中治療医
園生 智弘
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■ 講演内容
1.急性期医療DXの現状とTXP Medicalの取り組み
園生先生は、東京大学医学部卒業後、救急・集中治療領域での臨床・研究を経て、2017年にTXP Medical株式会社を創業。救急医療の構造的課題を解決するため、救急外来向けDXシステム「NEXT Stage ER」を開発し、これまでに累計40億円の資金調達、約100施設を超える導入実績を有することが紹介されました。

急性期医療における情報分断、入力負担、データ活用の困難さといった課題に対し、実装ベースでどのようにDXを推進してきたのか、具体的な事例とともに解説いただきました。

2.湘南総合病院における救急外来デジタル化
湘南総合病院救急外来での取り組みとして、電子カルテとの不整合を背景にアナログ運用が残存していた現場課題を紹介。
ホワイトボード管理に依存していた患者情報の可視化・共有プロセスを、デジタルソリューションへと転換した経緯が示されました。

また、救急搬送時の情報共有の重要性にも触れ、NSRモバイルを活用した救急隊のデジタル化推進についても報告。救急搬送前から院内受け入れまでをつなぐ情報連携基盤の必要性が強調されました。

3.救急医療プラットフォーム統一化への挑戦
入力支援AIを活用したクラウド型救急医療プラットフォーム構想についてもご説明がありました。
写真撮影による帳票のデータ化、OCR技術による情報抽出、バイタル入力支援など、現場負担を軽減する実装が紹介されました。

地域ごとに異なる帳票様式がデジタル化の障壁となっている現状を踏まえ、広島県をモデル事業とした全国的な救急医療情報連携プラットフォーム構築が進められていることが共有されました。

現在、本領域は厚労省・総務省・消防庁・デジタル庁が連携する国家事業として推進されており、急性期医療のインフラそのものを再設計する動きが加速していることが示されました。

4.生成AIと電子カルテの進化
生成AIの進化と医療応用についても具体的な実装例が紹介されました。
・電子カルテからの自動情報抽出
・研究用データ抽出支援
・ICUプロダクト開発
・OCR技術を活用したレジストリ登録自動化
・QRコードを活用した院内外データ連携

生成AIがテキストデータから必要情報を抽出し、臨床記録の整理や研究基盤整備を支援する実装が進んでいることが報告され、救急医学会との協働による技術開発の現状も共有されました。

さらに、音声入力、臨床意思決定支援、疾患見逃し防止など、電子カルテにAIを組み込むことによる医療の質向上の可能性が示され、参加者の関心を大いに集めました。

5.公共資金と持続可能なDX
自治体との連携や公共資金活用における課題として、生産性向上と住民サービス向上の両立の難しさについて議論が交わされました。
業務効率化だけでなく、救急搬送体制の高度化という社会的価値をどう実現するかという視点が提示され、DXの本質が「単なる効率化ではない」ことが強調されました。
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■ 質疑応答
質疑応答では、電子カルテ導入の実情、小児科領域でのデジタル活用、患者側のスマートフォンリテラシーの課題など、多岐にわたる議論が展開されました。
座長の加藤先生の進行のもと、活発な意見交換が行われ、急性期医療DXの今後の方向性について理解を深める貴重な機会となりました。
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■ おわりに
本講演会は、急性期医療の現場から生まれたリアルなDX実装事例と、国家レベルの医療情報基盤構築の最前線を学ぶ、大変意義深い時間となりました。

ご登壇いただきました園生先生、座長をお務めいただきました加藤先生に心より御礼申し上げます。
また、ご参加いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。

DMILでは今後も、医療DXの実践知を共有する場を継続的に創出してまいります。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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